2017/8/9の練習
力強い表現がまず必要なのが12~21小節、「Et in unum Dominum Jesum Christum, Filium Dei unigenitum」以下の部分で、これは「私は信じます、唯一の主、神のひとり子イエス・キリストを」の意味です。ここにはAllegro Maestoso (速く、荘厳に)と”f”の指示が付きます。「その意味の本質を理解し、表現しよう」と戸田先生は話しました。
この一文にある「in」という単語を挙げ、その意味の例として「I believe you」ならば「あなたの言うことを信じます」、「I believe in you」であれば「あなたという人を信じます」という違いになるそうです。その信仰の力強さの表現がこの音楽に込められてこそ、本来の「クレド」の表現であるといいます。
次の指導の重点は、58~62小節の「Crucifixus etiam pro nobis : sus Pontio Pilato」(ポンティオ・ピラトのもとで、私たちのために十字架につけられ)の部分でした。
出だしの”f”は「重いフォルテ」。そこからディミニュエンドして”p”に静まりますが、聖書で最も悲劇的な部分だけに、その間の4声の響きは重厚かつ深みをもって変化します。ソプラノの下降音型とベースの上昇音型が対をなし、中声部で支えるアルトとテナーもほぼ同じ形で半音を交えて微妙に下がりながらハモリます。各パートがしっかり音をキープできずに合わなくなりやすく、「音に注意を」と戸田先生は重ねて練習しました。
次の曲「サンクトゥス」では、まず、冒頭の「Sanctus」の「s」をしっかり発声すること、17~18小節の「caeli et terra」は「天と地」という一つの言葉として歌うこと、25小節目以降に続く「Hosanna」が「『オ』ザンナ」とはっきり聞こえるように、といった注意がありました。
終曲の「アニュスデイ」では、22小節以下の「miserere~nobis」(私たちを憐れんでください)の美しいハーモニーの部分で、特にテナーに「途切れる感じにせず、高くなるところは張らずに、同じバランスのレガートで優しく」と戸田先生から注意がありました。また、各パートとも39~40小節の「nobis pacem」(私たちに平安を)の言葉を切らずに、「s-pa」(スパ)と意識して歌うように、と。
最後の42~46小節の”pp”のハーモニーの練習も繰り返し、特に4声に分かれる男声のそれぞれの音の正確さが求められました。
【次回の練習】
日時:8月16日(水)18:30~
場所:ハリストス正教会
曲 : 沙羅